2022年11月20日からカタールで開催されている第22回FIFAワールドカップ。
日本でも、グループステージで過去に優勝経験のある強豪ドイツ・スペインを破り、大きな盛り上がりを見せています。
しかしこの輝かしいワールドカップの裏には大きな闇があることをご存じでしょうか?
特に大会の費用や出稼ぎ労働者の人権問題は欧米から批判されています。
本記事では、そのような開催の裏にある問題のごく一部をご紹介していきたいと思います。
初の中東開催となったカタールワールドカップ

開催地がカタールに決まったのは2010年でした。
FIFA理事会(現FIFA評議会)で投票が行われ、カタール・アメリカ・韓国・日本・オーストラリアの中から、開催地がカタールに決定しました。
しかしこの決定は疑問が残るものでした。
開催地決定に関して最も影響力のあると言われているFIFA視察団の調査報告書では、カタールは酷暑などの理由で、5候補の内最下位の評価でした。
さらには2010年当時からビルやホテル、地下鉄などインフラ設備の整備が問題となっていました。
それらに加えスタジアムだけでも2010年からの12年間で7個つくる必要がありました。
「最も高額なW杯」を行う自信
このような整備の問題もあり、今回の大会は「最も高額なW杯」と騒がれています。
なんと大会開催の推定関連支出は、2018年のロシア大会にかかった費用の約20倍に当たる2000億ドル(約28兆円)とも言われています。
カタール政府は開催に向けて世界中の建設会社(アメリカ、フランス、中国など)を呼び集め、インド、バングラディッシュ、アフリカなどから約200万人雇用し、大規模なインフラ整備を行いました。
このような大規模な事業でも、世界第3位の埋蔵量の天然ガスや石油などの資源を持つカタール政府は、大量の出稼ぎ労働者を受け入れる自信を見せていました。
例えば労働者に対して住居を与えるだけでなく、食事・洗濯・インターネットなどを無料で提供したり、暑さ対策として水分補給を徹底させるなど、対策を講じていることを述べていました。
まるで「牢獄」 全く異なる現場の環境
しかし実際の作業環境は異なるものでした。
英紙ガーディアンではガーナ出身の労働者にインタビューを行い、その劣悪な労働環境が報道されました。
インタビューでは月650リヤル(月給26000円)の賃金で、週6日、毎日8時間労働。つまり週48時間労働、週給6500円=時給135円という低賃金で働いていることが明かされました。
カタールは物価が高いと言われ、正直この時給では日々生活することがやっとで、出稼ぎにきたのにも関わらず、あまり稼げない状況だと思われます。
また英BBCでも労働者にインタビューを行い、朝4時に起きて一日中働かされ、冷たい飲み物は与えられないなど過酷な労働環境が明かされています。
さらにパスポートはカタールに着いた瞬間に取り上げられるといった明らかな人権侵害も報じられました。
さらに英紙ガーディアンはW杯開催決定から6750人以上の移民労働者がカタールで亡くなっていると報じています。
この数字はインド、バングラデシュ、スリランカ、ネパール、パキスタンの政府が出している数字のため、他の国は含まれておらず、死者はより多いと思われます。
カタール政府は死者のほとんどがW杯関連の死ではないと発表していますが、大規模な事業であるだけに政府も現場の全てを管理できているとは言えない状況だと思われます。
まとめ
いかがだったでしょうか。
さらなる盛り上がりを見せるW杯の裏では、過酷な労働環境で苦しんだ出稼ぎ労働者の方々が数多くいることが知っていただけたと思います。
今回取り上げたのはごく一部ですが、私たちもただ観戦を楽しむだけではなく、闇の部分を理解することも重要だと感じます。

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